「伝統と革新、地元と世界」のバランス
革新的な下駄を開発し続ける水鳥工業ですが、それを支えているのは伝統的なものづくりの技術に他なりません。今でも一足一足に手間暇をかけ、職人が丁寧に手づくりしているからこそ、やさしい履き心地と抜群のフィット感が実現できるのです。
その一方で、現代のライフスタイルやファッションにマッチさせ、世界にも通用するデザイン性を創出するために、さまざまなクリエイターや日本各地の工芸品とのコラボレーションを積極的に行っているのも水鳥の魅力のひとつです。2011年にスタートした「m2(mizutori&marerial)プロジェクト」では、染色家、テキスタイルデザイナー、ファッションデザイナーの作品をはじめ、北九州の小倉織、会津若松の漆塗りなどをスタイリッシュに取り入れています。
また、「世界中の人にもっと下駄を知ってほしい」というグローバルな視野を持ちながら、同時に地元の活性化にも力を入れるローカルな視点も忘れていませ ん。静岡産のヒノキや木材を原料に使用するのは、地元の森林資源を有効に活かし、環境保護に役立つ商品開発をしたいからだといいます。この「伝統と革新、 地元と世界」のバランスを、自然に、かつ大胆にとれるからこそ、original japanese geta 「mizutori」の商品には人を引きつけて止まない魅力が宿るのかもしれません。
平和な時代への願いを込めて
水鳥工業の代表取締役・水鳥正志さんはホームページでこう語ります。「江戸時代以前には、げたはほとんど進歩していません。
元禄時代、明治維新後、第二次世界大戦後、げたは飛躍的に変化しました。げたは平和な時代に進化するはきものです。いつまでもげたをはいて暮らせる平和な時代が続いてほしいという願いを込めてげたを作り続けていきたいと思います」。
静岡市葵区の小さな工場からはじまった、新しい下駄づくりへの挑戦。水鳥工業の熱い思いは、<世界中につながる下駄の和>を広げ続けています。