さいたま新都心で、地域に愛されるカフェを。老舗焼肉店の挑戦

さいたま新都心で、地域に愛されるカフェを。老舗焼肉店の挑戦

大型ショッピングモールやマンションが立ち並び、休日は家族連れやカップル、若者が集う街・さいたま新都心。にぎやかな駅前通りを抜け、閑静な住宅街を歩いていくとビビッドピンクのテラスが見えてくる。

思わず誰かにシェアしたくなるフォトジェニックなこの店は、2022年4月にオープンした『COFK COFFEE&Bar』だ。昼は主婦層や近所の方が中心に集うカフェ、夜はファミリーやカップルが利用するバーとして運営している。ブルックリンスタイルの内装は、木のぬくもりと緑が印象的な洗練された空間。先ほどのテラスでは、ペットと共にくつろぐこともできる。

見た目も華やか、こだわりのカフェメニュー

メニューは、カフェ・ランチ・ディナーとシーンごとに異なるものを展開。カフェメニューでは、SNS映えするドリンクやスイーツに目を奪われる。

その中のひとつが『抹茶パフェ』(780円税込)だ。和を感じさせるこのパフェは、抹茶シフォン、黒蜜、白玉などの和食材に加え、杏仁、グラノーラ、生クリームとアイス、マカロンを使用。見た目も華やかで可愛らしい一品だ。

そして、ここにきたら外せないのが水を一滴も使わない『ミルクカフェ・オレ』(630円税込)。北海道産の牛乳にコーヒー豆を一晩漬け込むことで、濃厚なミルク感を楽しめる一杯となっている。

『COFKオリジナルブレンドコーヒー』(560円税込)も人気メニューのひとつ。ガテマラ・コロンビア・ブラジルの3種類の豆をブレンドし、オーダーが入るごとに丁寧に抽出したホットコーヒーは、香ばしさの中に少し甘みを感じるテイストが特徴だ。

運営元は焼肉店。コロナ禍をきっかけに新業態へ挑戦

こだわりのメニューをそろえ、おしゃれな内装と居心地の良い雰囲気が魅力の同店。実は、埼玉県内で焼肉店『セナラ』や『焼肉 高麗房』など、5ブランド8店舗を展開する株式会社コーフクが運営を手がけている。同社としては初となるカフェの出店。新業態への挑戦を決めたきっかけについて、代表の廉 瀚(レン・ヒロシ)さんは語る。

「コロナ禍では多くの飲食店が苦しい状況にありましたが、弊社も同様に2020年4月以降、焼肉店の売り上げが減少していました。そんな中、自社ビルでテナントを貸していたお店が倒産してしまったんです。残った施設をどうするか考える中で、弊社としても厳しい状況を抜け出すために新しい挑戦をしようと、カフェを手がけることを決めたのです」

ちょうどその頃、新分野展開や事業転換等を行う中小企業を支援する「事業再構築補助金」を中小企業庁が打ち出した。同社はこの補助金を利用し、出店を準備。“地域の方に気軽に来てもらえるお店”をコンセプトに、アイデアをまとめていった。

焼肉店ならでは、こだわりの肉でつくるフードメニュー

本業が焼肉店という強みを活かしてつくられたのが『黒毛和牛ハンバーグのロコモコプレート』(1,080円税込)や限定10食の『セナラ直伝特製ビビンバプレート』(1,000円税込)。ランチとディナーで提供されるこれらのメニューは、同社で仕入れた上質な和牛を使用しており、肉の旨味をしっかりと感じることができる。

「弊社が扱う肉は、9割以上が和牛です。全国各地から状態の良いものを見極め、仕入れた国産牛の一部をカフェメニューにも使っています」

肉の選定には全国で200名ほどしかいないという難関資格・焼肉ソムリエを持つ男性と目利きのスタッフが関わっており、地域住民への奉仕の意識から、破格の40%という原価率で商品を提供している。

メニューは、都内でホテルの洋食関係の仕事をしていたスタッフを中心に開発。おいしく本格的な洋食をリーズナブルに食べられるよう、幾度となく議論を重ねてつくりあげた。

カフェ運営に際しては、より多くの方に来ていただけるようトレンドやSNS映えも意識。

ディナータイムでは細長いビアグラスで楽しめる『マルエフ アサヒ生ビール~600ml~』(980円税込)や、オリーブオイルと塩、コチュジャンでシンプルに肉を味わう『サムギョプサル』(1,380円税込)がおすすめ。

地域の方に愛されるお店を目指して

同店では地元・埼玉を応援すべく、県内でつくられた食材をメニューの一部に使用しているほか、地域密着型のイベントも積極的に行っていきたいと話す。

「埼玉県産の野菜を広めたいと普及先を探していたイタリア野菜農家と意気投合しまして。そちらから仕入れて、セルバチコというハーブをパスタに使ったり、トレビスという葉物をサラダに使ったりしています」

また、地域事業者から制作した小物などを同店で販売したいというニーズを受けて、店内の一部スペースを使用した展示会の企画等も検討している。

このような地域とつながる取り組みを通して、同社はカフェ特有の課題にも挑む。多くのカフェは夕方以降、来客数が減少する課題を抱えているが同店も例外ではなく、ディナータイムをどう地域の方に楽しんでもらえるかが今後の鍵となると語る。

同社の常務である廉 哲(レン・テツ)さんは今後の目標について続ける。

「今回オープンしたカフェは、私たちの手がける焼肉店の目の前にあるんです。今後は双方でお客さまが行き来するような相乗効果を生み出せたらと思っています。いつかコーフクコーヒーの定番メニューを『セナラ』で提供できたら嬉しいですね」

まずはお客さまに喜んでいただき、ゆくゆくは地域の方々に愛される店へ育てていきたいと語る社長。食文化を通じてコミュニケーションを深め、お客さまの幸せを追求していく――コーフクの新たな挑戦は、始まったばかりだ。

COFK COFFEE&Bar
埼玉県さいたま市大宮区北袋町2丁目424 map
048-662-9430
11:00-22:00 (21:30L.O) / ランチ11:30-15:00(14:30L.O)
年中無休
https://www.cofkcoffee.com/