女心をくすぐる出会い。アタかご専門店AndYuは催事販売で勝負する

女心をくすぐる出会い。アタかご専門店AndYuは催事販売で勝負する

リラックスした雰囲気を与えてくれる“かごバッグ”は、いまやタウンユースでも使われる春夏の定番ファッションアイテムです。

かごの素材は竹や籐(ラタン)、麻などいろいろありますが、インドネシアのジャングルに自生するツル性植物「アタ」を使ったものは、知る人ぞ知る存在です。軽くて丈夫なうえに、布の張られていないものは丸洗いもOK。ここ日本でもじわじわと人気が高まっています。

『AndYu(アンドユウ)』は現地の職人たちと手を組み、日本人が普段使いできる別注アイテムを企画・販売するアタかご専門店。和知幸枝さん(69歳)と代表取締役の邦子さん(40歳)の母娘二人三脚で、なんと900種類以上を取り扱ってきました。

光沢と耐久性の秘訣は「いぶし」にあり

創業者である幸枝さんがアタかごに出会ったのは、今から30数年前。バリ島東部にあるトゥガナン村を旅したとき、民家の軒先にぶら下がっているのを見て、一瞬にして心を奪われたそうです。

「なんてキレイな編み目と色なのだろうとびっくりしましたね。これこそ私の求めているものと直感しました」(幸枝さん)

アタかごの作り方は、まずツルの幅を均一にそろえ、生の状態で編み上げます。そして天日干しでよく乾燥させた後、天然木のチップを燃やした煙で1日12時間・計1週間くん製にします。しっかりいぶすことで、美しいアメ色となり、防虫・防カビ効果が得られるのです。

アンドユウの生産拠点は、バリ島やロンボク島、スンバワ島の山奥にあって、職人たちがすべて手作業で作っています。商品はどれも整った編み目が美しく、和知さんの親子のデザインが忠実に再現されています。さらに、擦れやすい部分は強度を高める加工が施され、実用性も申し分ありません。

催事販売への挑戦が道を拓いた

アンドユウの商品はバッグだけではありません。バスケット、ランチョンマット、鉢カバーなどインテリア雑貨も豊富にそろっています。

「全国の百貨店や商業施設の催事スペースに期間限定で出店し、年間50~60ヵ所をまわります。今年はもっと増えるかもしれないですね」(幸枝さん)

常設店舗はおろか、オンラインショップもありませんが、和知さん親子はこの販売スタイルに自信を持っています。

「客層の合ったイベントには積極的に出店しています。例えば、来場者25万人を超える『テーブルウェアフェスティバル』に、弊社は12年連続で参加していて、毎年楽しみにしてくださるお客さまも多くいらっしゃいます。おかげさまで“アタかごといえばアンドユウ”とあちこちで言われるようになりました」(邦子さん)

さて雑貨ショップの開業を考えている人は、自らの世界観を反映したお店を持ちたいと考えるもの。しかし、その夢をかなえるにはそれなりの資金が必要ですし、出張が多ければ人を雇わなくてはなりません。さかのぼること1999年、創業間もない同社にとってそれは高いハードルでした。

そうした理由からまずインターネット販売からスタート。しかしアタかごの知名度は思いのほか低く、売れても返品されてしまうなど悩ましい日々を送っていたそうです。

それから数年後、あるバイヤーの勧めでショッピングモールでのワゴン販売に挑戦します。初回は散々な売り上げだったそうですが、和知さん親子はすぐに“この売り方は面白い”と対面販売の魅力に気づかされたといいます。

「お客さまと直接お話しして、相手が何を感じ、何を欲しているのかつかむことが、商売の原点だなと強く思いましたね」(幸枝さん)

スタッフ考案より愛用者のアイディア

売り手が思いつかないアイディアをキャッチできるのも対面販売のメリットです。

「ナイフやフォークを入れるカトラリーケースがあるじゃないですか。レギュラーサイズを手にとったお客さまの『うちは家族が少ないから、こんなに大きくなくていい』という声から、スリムサイズを作りました。そうしたらものすごく売れたんです」(邦子さん)

和知さん親子が意気込んで開発したアイテムよりも、接客中に得たお客さまの意見を反映したものの方がよく売れるということもめずらしくないのだとか。

このほかにも綿棒入れ、トイレットペーパーホルダー、A4サイズのティーマットと、愛用者のリクエストから生まれたヒット商品を挙げればきりがありません。

その中でも“漆塗りのアタかごバッグ”は、従来の製法にこだわらない個性派アイテムです。

「独特のスモークの香りを気にされる方向けに、いぶしていないんです。仕掛品を日本に移送して、讃岐の職人が漆を塗り、弊社で持ち手と中布を付けて完成です。和服を着られる方にとくに人気があります」(邦子さん)

細かい編み目が埋もれないように、アタかごの自然な風合いを崩さないようにと、丁寧に漆を施していきます。インドネシアと日本の職人技術が融合した、他では決して手に入らないアイテムとして、好調な売れ行きをみせています。

現地の職人との深い信頼関係

和知さん親子は現地の職人との関係も大切にしています。

「信頼関係を築くには、顔を合わせて話すことがなによりも大切です。一番長い取引先は家族ぐるみの付き合い。最初はお互い超貧乏でしたね(笑)。弊社が大変なときは数か月も支払いを待ってくれたこともありましたし、反対に向こうが大変なときは弊社が融通することもありました」(幸枝さん)

もっとも検品は年に3~4回、和知さん親子がすべて現地でチェックしているそう。

「相手に任せてはダメです。まず仕事に対しての意識が日本とは違うので。付き合いが浅いところとの話ですが、『サンプル品はすごくきれいに作ってきたのに、いざ発注したらボロばっかりが納品されていた』なんていう苦い経験もしました」(幸枝さん)

そして同社の強みのひとつに、迅速かつ丁寧なアフターサービスが挙げられます。

「修理に対応できるところがそもそも少ないです。直せますとうたっているところも、現地の職人に外注するので数か月も要したり。弊社は、日本に加工と修理の拠点があるので、1週間程度で対応可能です。この間は、目落ちの直し方を現地で習ってきました。売れればいいという商売はしたくないんです」(邦子さん)

海外出展に全米No.1リビング誌も注目

これまでに培ったノウハウをもとに、アンドユウは海外に活躍の場を広げようとしています。

最初に狙うのはアメリカ市場。「大都市生活者はナチュラルなものを求める傾向が非常に強い」という見立てから、シカゴとニューヨークの展示会に参加しました。大手のバイヤーがブースに訪れたり、全米トップのリビング誌に商品が掲載されたりと、初挑戦にして手応えは上々。

「国内問わずライバルはいますよ。ただ、商品を安定供給できるところはそうはいません。現地に入ってコントロールするのが難しいですから。そのところをクリアできる自信はあります」(幸枝さん)

海外では代理店を通じたインターネット販売が主になると話す一方、日本については現在の催事販売を続けていく方針だそう。出店スケジュールは、月初めになると公式サイトやSNSに掲載されます。特にかき入れ時の春夏は、スタッフ全員フル稼働で頑張っています。

質の高いものは、手入れをすれば「100年愛用できる」とも言われるアタかご。一生ものの出会いがあるかもしれません。

AndYu(アンドユウ)
埼玉県川口市安行領根岸2282
048-282-8552
https://www.andyu.jp/
https://www.facebook.com/andyuatabasket/
http://instagram.com/andyu_atagrassbasket