スマホで簡単!街のパティスリーが届ける本当においしい写真ケーキ

スマホで簡単!街のパティスリーが届ける本当においしい写真ケーキ

「ものづくりって作ることがゴールじゃないですよね。ケーキを買うとき、箱を開けるとき、食べ終わったとき、すべての瞬間において満足してもらえるサービスを提供する。そうしてリピートしていただいて、初めてうちの目的が達成されるわけです」

株式会社る・菓壇の代表取締役社長兼オーナーパティシエである鈴木宏太郎さん(46歳)は言う。

埼玉県八潮市、静かな街並みの中にたたずむ『る・菓壇(かだん)』は、1988年から続く老舗パティスリーだ。創業当時、ケーキの専門店は地域にほとんどなく、街に誇れる店をつくりたいという思いから、る・菓壇は誕生した。

オレンジ色の外壁が可愛らしい店内に所狭しと並ぶお菓子。ケーキはおよそ25種類、焼き菓子は30種類、そして夏場のゼリー類が9種類と、その品揃えはかなり豊富だ。店内にふんわりと漂う甘い香りを胸いっぱいに吸い込んで、ショーケースに並ぶ色とりどりのケーキを眺めるだけでもワクワクする。

現在では、八潮本店のほかに新越谷VARIE店、草加マルイ店の全3店舗を展開する、地域住民御用達の洋菓子専門店だ。

選ばれる店を目指して

一昔前まで、ケーキは特別な日に食べるお菓子だった。る・菓壇では、お菓子とは本来“身近な存在”であると考え、本場のフランス菓子をそのまま再現するよりも、日本人の味覚に合わせてアレンジをしていくことをポリシーとしていた。

そして時代とともに、日本人と洋菓子の距離は縮まり、現在ではコンビニでも本格スイーツを買うことができる。そんな中、自分たちの存在をどうやってアピールしていけばいいのか、街のパティスリーは新たな岐路に立たされている。

「その店じゃないといけない理由が、お客さまの期待以上のものを提供することによって生まれるんじゃないかって。うちは世界的コンテストに出場するような芸術性の高い店ではないので、アイディアで勝負しようと思ったんです」

る・菓壇では、ケーキ購入のリピート率が最も高い誕生日に目をつけ、10年ほど前から“ バースデーをもっと楽しく ”というコンセプトを掲げている。

その一策として鈴木さんが立ち上げたのが、写真ケーキの通販ブランド『shappie(シャッピー)』だ。

おいしくて楽しい! をshappieから

2016年9月にサービスを開始したshappieは、写真ケーキ専門の通販サイト。ケーキにしたい写真などの手持ちの画像をアップロードし、スマートフォンやパソコンから簡単に注文することができる 。

ケーキのサイズは直径約12cmの4号(税別3300円)からで、生クリームの味はホワイトとチョコレートの2種類がある。

主役ともいうべきケーキ中央の写真部分は、専用のプリンタで画像をシート状のコーンスターチに転写し、ホワイトチョコとつや出しゼリーで仕上げている。もちろんインクなど材料はすべて食用で、安心してケーキと一緒に食べられる。

そして仕上げに、急速冷凍庫でマイナス60℃ の冷気を吹きつけて凍らせる 。こうしてケーキは鮮度を保ったまま、最短2日で全国各地に届けられるのだ。

ウェブで買える最高品質の写真ケーキ

鈴木さんがshappieを始める以前から、すでに写真ケーキのオンラインサービスは世の中にあった。しかし、後発だからこそ、改めて世間のニーズを汲み取る機会をもつことができたのだと鈴木さんは話す。

商品の到着日を表示したり、サイズ変更や色調補正ができる画像編集ツールを備えたりするなど、見栄えと使いやすさを重視してウェブサイトを作り込み、宣伝にも力を入れた。すると販売開始から2ヵ月後には月に500台もの注文が入る人気商品に。今ではshappieだけで2分の1店舗分の売り上げが出ているという。いわば四六時中、催事出店をしているイメージだ。

最近では、 写真に特化したSNSアプリ『Instagram(インスタグラム)』との連携も始めるなど、新たな機能を付加している。

さらに、鈴木さんが意識的に他社との差別化を図っているのが、味のクオリティだ。

人気ケーキの定番といえば、イチゴと生クリームのショートケーキだが、イチゴは冷凍すると水分が出て食感が変わり、生クリームもまた、油分と水分が分離して、味が格段に落ちてしまう。クリームの量を減らしてスポンジを増やしたり、代わりにムースを使ったりする方法もあるが、る・菓壇はそれをしない。たとえ原材料にコストがかかっても、ショートケーキに近い味のクオリティを保つため、生クリームを使うことにこだわっている。

「写真ケーキって見た目が重視されがちで、味は二の次になることが多いでしょう。でも、どんなに見た目がよくても食べたときにイマイチだと、次もまた頼もうとはなりませんよね」

試行錯誤を繰り返し、イチゴの代わりに冷凍しても風味が落ちない果物を選んでシロップ漬けにすることで、おいしさを保つことに成功。研究を重ねて、濃厚でコクのある特製生クリームも開発した。さらにケーキ中間の層に果肉たっぷりのイチゴのゼリーを入れ込んだことで、アクセントとなる爽やかな酸味が加わった。

通販であっても妥協せず、最高においしいものを届けようとする揺るぎのない信念が商品に込められている。

使い方いろいろ ユーザーと広げる可能性

shappieを作ったことで販売の幅が広がったと話す鈴木さん。インターネットによって商圏は取り払われ、一つの街から日本中にケーキを届けることが可能になった。世界にただひとつのケーキが贈れるとあって、従来のケーキよりも一層ギフト的な要素が強まり、写真ケーキそのものがプレゼントとして活躍している。

「女子会とかカップルで使ったり、あとはお子さんが描いた絵を印刷したいっていうオーダーも受けますね。 自宅だけでなく、宿泊先とかイベント会場に届けてほしいと言われることもあります。一度に3台も注文してくださるリピーターのお客さまもいらっしゃるんですよ」

今や、作り手が想像しないような場所やシチュエーションで利用されているのだと語る鈴木さん自身も、どこか楽しげだ。

「今後は、ケーキの種類を増やすことも考えていきたいと思っています。期間限定商品を出すのも面白いかな。ネットでも店頭と同じように選ぶ楽しみを提供できたらいいですよね」

これからの時代に求められるお菓子を

ここ数年で、世間の食物アレルギーに対する関心はさらに高まった。る・菓壇では、単に食品添加物の表示義務を果たすだけでなく、アレルギーに悩む人たちにもケーキを楽しんでほしいという想いから、ノーエッグケーキや3大アレルゲンである卵・乳製品・小麦粉をすべて除いたデコレーションケーキ を販売している。

そのほかにも、ローカロリーやプリン体ゼロなど健康志向に訴求するうたい文句が数ある中で、鈴木さんは“ ロカボ(低糖質)”という要素に注目している。
なにかと糖を悪者扱いしがちな昨今の風潮に反発心を抱いていたという鈴木さんだが、数々の研究結果に目を通していくうちに、徐々に意識が変化してきたのだと話す。

「糖質は、脳が働くために必要な栄養素である一方で、摂りすぎはやっぱりよくないみたいだから。日本社会の高齢化が進んでいる以上、より身体を気遣った商品を提供するということは、お菓子屋さんに求められる社会的使命ですね」

今や『マカロン』は人気の洋菓子として定着し、『パティシエ』は子供たちの憧れの職業だ。どんな時代でもスイーツはご褒美であり、人々の心を豊かにしてきたのだと語る鈴木さんの言葉は力強い。目にも舌にも魅力的なサービスを通して、る・菓壇の想いは今日も全国各地に届けられている。

Shappie(シャッピー)
https://shappie.jp/

る・菓壇 八潮本店(る・かだん)
埼玉県八潮市中央4-5-5 map
048-997-7777
10:00~19:00
毎週火曜・第3月曜定休  
https://lekadan.jp/