100年の技術で、暮らしにひかりを 真工社が創り出す『MYSTIC WORKS』

100年の技術で、暮らしにひかりを 真工社が創り出す『MYSTIC WORKS』

2026.11.2配信

光の当たり方によって、さまざまな表情を見せる時計。その文字盤を彩っているのは、100年以上にわたり受け継がれてきた「めっき」の技術だ。

「透明な液体や青い液体にプラスチックなどの素材をつけて電気を流すと、まったく違う銀色や銅色になって出てくる。『こんな透明な液から、こんなに光を放つものが出来上がる』、そんなところがすごく神秘的なんです」

そう語るのは、株式会社真工社代表取締役の眞子岳志(マナゴ・タケシ)さん(53歳)。

自社の技術を生かして立ち上げたコンシューマーブランド『MYSTIC WORKS(ミスティックワークス)』は、工業技術だっためっきを、暮らしの中で楽しめるものへと変えている。

「めっき」だから生まれる、一つとして同じものがない表情

MYSTIC WORKSを象徴するのが、めっきならではの光や表情を楽しめる『ひかりを楽しむ掛け時計』。

プラスチック製の本体全面に、金属の層を形成するめっき技術を生かした一品だ。カラーは「銀河」「朝焼け」「陽光」「木陰」「夜空」の5色を展開。光の当たり具合によって見え方が変わり、飾る場所や時間帯によって異なる表情を楽しめるのが特徴だ。

大サイズは、存在感のある直径26cm。壁に掛けることで、めっきならではの輝きや表情をより楽しめる。
小サイズは、コンパクトな直径9cm。 デスクまわりや棚などにも取り入れやすく、さりげなく空間に彩りを添えてくれる。

『ひかりを楽しむ掛け時計90「木陰」 16,500円』、『ひかりを楽しむ掛け時計260 「銀河」 49,500円』

5色のうち、光沢仕上げの「銀河」「朝焼け」「陽光」の3カラーは通常のめっき工程のみで仕上げる。
一方、「木陰」「夜空」は通常のめっき工程の後に薬品で黒く染める工程がある。「木陰」はそのあと手作業で表面を削る工程、「夜空」は黒く染める工程で不規則な模様が発生するので、色や模様に個体差が生まれる。

「木陰というカラーは、銅めっきが終わった後に薬品に漬けると、一回真っ黒になるんです。真っ黒になった表面を、人の手でサンドペーパーのようなもので削り取る。削る際の力の掛け具合や、手の動きの変化などによって、色味や模様の状態など表情が全然変わってしまうんです」

この工程を安定して任せられる技術者は、社内でも数名ほど。手作業だからこそ生まれる個体差も魅力になっている。

デザインを担当するのは、コンシューマー事業部の羽賀裕一(ハガ・ユウイチ)さん(36歳)。
デザイナーとして入社した後、企画開発チームでめっきの技術を学び、現在では2級めっき技能士の資格を取得している。

「元々ものづくりが好きで、製造現場で自分で手を動かす作業に加えて、デザインもやりたかったので。 メッキの作業をしながら自分の好きなことができると思い入社しました。」

デザインだけでなく、素材や加工の特性まで知ることで、めっきならではの表現を生かしたものづくりへと仕事の幅を広げている。

時代に合わせて変化してきた、100年の歴史

真工社の歴史は1922年にさかのぼる。眞子さんの祖父・駒雄さんが創業し、懐中時計のチェーンなどの金めっき、その後はラジオのアンテナなど、さまざまな製品を手がけてきた。

先代である眞子さんの父・勝利さんが引き継いだ1960年代には、軽量でありながら金属の質感を持たせられるプラスチックめっきへと事業を転換。化粧品のコンパクトケースや自動車のエンブレムなど、めっきの可能性をさらに追求していった。

2007年に三代目代表取締役に就任した眞子さん。会社として成長していくためには、これまでの家業のあり方を変えていく必要も感じていた。

「感覚で物事を決める“家業”ではなく、“企業”としてやっていきたいと思っています」

そう考えるようになった背景には、相次いで取引先企業の生産が縮小・停止し、受注が大きく落ち込んだ経験があった。

コロナ禍の影響からようやく回復の兆しが見えてきたころ、取引先企業で不正問題が発覚。その影響で関連製品の生産が縮小し、真工社への受注も大幅に減少した。生産が再開され、先が見え始めた矢先、今度は別の取引先企業でも不正問題が発生。真工社は再び大きな打撃を受けることとなった。

「2024年12月20日の火曜日、夕方5時15分にメールが来て、『来週からの生産・出荷を全部止めてくれ』と言われたんです。そこから売上ゼロの状態が8カ月続きました」

「自分たちの努力と関係ないところで会社って死にかける。そうなると、この仕事だけに全振りしてやっていくのはちょっと怖いと思いました」

この経験から、眞子さんはこれまでの受託加工だけに頼るのではなく、自ら商品を生み出し、新たな事業の柱をつくる必要性を感じるようになった。

「不良品」ではなく、「技術」を商品に

模索のなかで始まったのが、自分たちの技術を生かした商品づくりだった。そこで目を向けたのが、めっきの規格外品など、これまで“不良品”として扱われていたものだった。

「不良品が捨ててある場所にあったものを見て、デザイナーのような感性豊かな人たちが『これ、捨てちゃうのがもったいないくらい素敵だね』と言うんです」

本来であれば製品として出荷できないものも、見方を変えれば、めっきならではの魅力的な表情を持っている。そんな発想から生まれたのが、最初のブランド『mystic error(ミスティック・エラー)』だった。

しかし、商品づくりを続けるなかで、ある矛盾に気づく。

「不良品の再利用をやっていると、『売れて在庫がなくなった時に不良品が必要だね』になっちゃうと、ものづくりとしては矛盾しているでしょ。自分たちが創業から100年やってる技術の、“核”となるものが商品になってないのはどうなんだろうって」

そこで改めて考えたのが、“真工社だからこそ生み出せる価値とは何か”、ということ。

「もうちょっと本質のところで、ブランドとしての価値づくりをしませんか、という話になって。自分たちが培ってきた技術を、ちゃんと商品にしようということで、『MYSTIC WORKS』になりました」

こうして、廃材に新たな価値を見いだす『mystic error』から、自分たちが培ってきためっき技術そのものを商品として届ける『MYSTIC WORKS』に。

100年企業の新たなものづくりが形になっていった。

100年を超えるめっきの技術を、次の100年へ

「めっきというと、だいたい“フェイク”とか“まがいもの”“化けの皮が剥がれる”という使われ方をする。これに僕はすごく違和感があって」

長年、ものづくりの現場を支えてきためっきと、世間が抱くイメージとの距離。その距離を少しでも縮めたいという思いも、眞子さんがMYSTIC WORKSに取り組む理由の一つだ。

ブランドでは、掛け時計にとどまらず、めっきの技術を暮らしの中へ届ける新たな商品づくりも進めている。2026年7月には、バッグチャームを試験的に販売。めっきならではの質感を楽しめるデザインに加え、裏面にはミラーを取り入れるなど、日常で使えるアイテムとして新たな可能性を探っている。

さらに9月14日には、ひかりを楽しむ掛け時計の新作を、応援購入サービス『Makuake』で先行販売。公開から約3時間で目標金額を達成した。2024年の初回クラウドファンディングでも目標達成率1,800%を超えるなど、MYSTIC WORKSの商品は少しずつ消費者との接点を広げている。

「少しでもめっきというものを身近に感じてもらって、『その商品いいな』と思って、手に取ってもらえるようになれたら」

100年以上にわたり、時代に合わせて変化しながら技術をつないできた真工社。培ってきためっきの技術を、今度は自らの商品に込めて暮らしの中へ。真工社のものづくりは、これからも続いていく。

株式会社真工社
〒335-0032 埼玉県戸田市美女木2-2-6 map
048-421-9833
受付時間:平日9:00~17:00
https://www.shinkosya.co.jp/

MYSTIC WORKS
HP:https://official.mysticworks.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/mysticworks_jp