アホをちょい足し! ニンニク専門店の巣鴨若返り大作戦

アホをちょい足し! ニンニク専門店の巣鴨若返り大作戦

昭和の面影を残す巣鴨地蔵通り商店街。JR巣鴨駅側の入り口から右手すぐ、にっこり笑ったニンニクのキャラクターが目に入ります。『あほやにんにく堂』という薬膳にんにくの専門店です。

店頭で売られている『アホブラック』(530円税込)は一度食べれば忘れられない中華まん。寒い時期に限らず通年で人気を誇り、「これ1個でご飯代わりになる」と定期的に買いに来るご婦人もいるそう。

強烈なビジュアルも、素材と味は本格派

材料は全て国産を使用。あんの具材は特別栽培ニンニクと岩手のブランド豚『白金豚(プラチナポーク)』のみでつなぎはほとんど入っていません。香りと食感が楽しめるよう、ニンニクはすりおろしとスライスの両方を使っています。

皮が黒いのは、生地に黒ニンニクパウダーと有機竹炭パウダーを練り込んでいるから。あんを包んで発酵させたら、高温で一気に蒸し上げます。皮はフワフワできめ細かく、ケーキのような食感です。

お持ち帰りまたは通販用のチルド(5個・2651円税込)もあります。

大胆なネーミングに込めた狙い

店名や商品名に“あほ”が付くとはなんとも個性的ですが、それにはワケがあります。

「アホ(AJO)は、スペイン語でニンニクという意味なんです。すぐに覚えてもらえて、人に伝えやすい。ひらがなにしたのは、お子さんでも読めるように。つられて親御さんも足を止めてくれるんじゃないかなって」

そう話すのは薬膳にんにく株式会社 CEOの山添三帆さん(54歳)。青森県に広さ約300アールの畑を所有し、高級品種『福地ホワイト』の自然栽培に乗り出すほどのニンニクフリークです。

完熟のおいしさを手軽に味わう

お店で販売している商品は20種類以上、全て自社開発したもの。

人気No.1を誇る『アホ熟丸』(200グラム・2500円/大玉Lサイズ・600円税込)は、生ニンニクを一定の条件で約40日間自然発酵させた黒ニンニクです。

香りはしっかりニンニクですが、ドライフルーツのような味わいで、そのままでも幅広い料理と合わせることができます。

『黒にんにくのピンチョスバゲット』は、バケットの上に色々な具材を載せるだけの簡単レシピ。塩気のあるチーズや生ハム、クリーミーなアボカドなど、アホ熟丸のほんのりとした甘みがマッチします。

いつもの料理に加えるだけで、毎日手軽にニンニクを取り入れられる調味料も高いリピート率を誇ります。

万能調味料の『アホスープ』(1500円税込)は、ニンニクを限界量まで投入し、うま味をたっぷり濃縮しています。スープの隠し味に加えれば、コクが出て風味豊かに。食欲のないとき、調理する余裕のないとき、サッと作れてきちんと栄養補給できるのもうれしいポイントです。

カプレーゼやカルパッチョの味付けには『アホオイル』(3300円税込)がおすすめ。特許製法で抽出したアホエン含有のエキストラバージンオリーブオイルです。アホエンに含まれるアリシンという成分は、脳細胞を活性化する効果や高血圧を抑制する作用などが報告されています。

オンラインショップなら、会員登録すると最大20パーセント割引で購入できます。

大嫌いから大好きに

実を言うと山添さん、黒ニンニクが大嫌いでした。ところが数年前、病気とは無縁だった彼女が体調を崩したとき、周囲の勧めで黒ニンニクを食べたところ、体調がみるみる回復。この体験から、ニンニクをもっと世に広めようと決意したそうです。

2019年3月には『にんにく研究所』を立ち上げ、医師や料理研究家、料理本の編集者と集い、新商品の開発などに取り組んでいます。

その成果の一つが、2021年3月に発売したサプリメント『大蒜黒白』(5800円税込)。「にんにく屋じゃないと作れない」と採算度外視で挑んだ自信作です。

国産の黒ニンニクや白ニンニクの15倍濃縮エキスをはじめ、日本初の黒ニンニク醸造酢、亜麻仁オイル、アホエンオイルなどをバランスよく配合したカプセルです。

ポリフェノールやオメガ9オレイン酸、必須アミノ酸、アリシンなど、単体で売られるような有効成分を1粒に凝縮。腸に到達してから溶けるので、においを気にせず摂取できます。

若者と高齢者の交流の場になりたい

“おばあちゃんの原宿”でおなじみの巣鴨地蔵通り商店街ですが、近隣には大学や専門学校などが多く、駅は若い世代の利用が目立ちます。

山添さんはその光景をヒントに“若い人をもっとお店に呼び込もう”と考え、2019年11月に店舗や商品デザインを一新。その結果、客層は大きく若返り、とくに20代の来店客が増えているそうです。

「いろいろ観察していると、お年寄りだって“お年寄りらしいもの”を求めていないんです。原宿にあるようなお店が本当は好きなんですよ。若い人もお年寄りの常連さんも入りやすくて、世代間交流のあるお店にしたいですね」

新型コロナウイルスが感染拡大する前は、出張バーを呼んでナイトイベントを行うなど、精力的に活動していました。いまだに先行きが不透明な状況ですが、現在も野菜の卸売業者との共同マルシェや、にんにく商品を使用したバルのような企画を温めています。

「巣鴨らしくないことを仕掛けて、地域の人にもっと知ってもらい、愛される店にしたい」

アイデア社長はニンニクパワーで今日も突き進みます。

あほやにんにく堂
東京都豊島区巣鴨3-33-1 map
03-5567-1081
10:00~18:00
https://ahoya229.com/