赤羽に日本初上陸スイーツ!「MeetFresh鮮芋仙」に込められた狙いとは

赤羽に日本初上陸スイーツ!「MeetFresh鮮芋仙」に込められた狙いとは

2017年4月8日、日本初出店となる台湾スイーツ店『MeetFresh 鮮芋仙(ミートフレッシュ・シェンユイシェン)』が東京・赤羽にオープンした。

MeetFreshは台湾台中市の小さな屋台を原点に、台湾だけでなくアジアや欧米地域、世界で500店舗以上を展開する大手スイーツチェーン店。

その人気ぶりは、事前告知を一切行わなかったにも関わらず、プレオープン3日目にして2時間待ちの大行列ができたほど。日本在住の台湾人や中国人の間でSNSを中心に情報がまたたく間に拡散され、次々と人が押し寄せたのだ。

MeetFresh赤羽本店があるのは、赤羽スズラン通り商店街(LaLaガーデン)からほど近い、コンクリート打ち放しの外壁と木の軒天のコントラストが美しい5階建てビルの1階。テラス席を合わせて全62席が用意されている。店内のテーブルと丸椅子は中国から直輸入したもので、都会的な空間の中に異国情緒を感じさせる。

目新しいのに懐かしい 台湾の国民的スイーツ

看板メニューは、芋園(イモエン)・仙草(センソウ)・豆花(トウファ)の3つ。どれも小豆や黒糖など自然の甘みを生かした、子供からお年寄りまで幅広く親しまれる台湾の国民的スイーツで、日本で言うところの、あんみつやおしるこのような存在だ。

『芋園4号・コールド』(Mサイズ500円)は、かき氷の上に芋園・タロイモ・小豆・タピオカ・黒糖シロップをトッピングした定番商品。芋園とは、サトイモを練って作られたオレンジや薄紫色のお団子のことで、シャリシャリとしたかき氷と一緒にモチっとした食感の違いが楽しめる。

『仙草クリームシャーベット』(650円)は、仙草シャーベット・仙草ゼリー・生クリームが三層仕立てになった食べるドリンク。主役の仙草は、乾燥させた葉を長時間煮出すと黒色になるシソ科の植物で、暑気あたりを予防する漢方食材としても知られている。ほとんど苦味はなく、ハーブのようなすっきりとした爽やかな味わいだ。

その他にも、抹茶やきな粉といった和素材を使った日本限定商品やホットメニューなど豊富なラインナップが揃っている。

仕掛け人は飲食事業“初挑戦”

台湾からMeetFreshをひっさげ、下町の一角に行列を作った仕掛け人は、なんとある異業種の地元企業だという。

運営するのは、店舗や住宅の内装デザイン・設計・施工業務を行うスムースデザイン株式会社。ショッピングモールやオフィス、イベントブースなどあらゆるジャンルに精通しており、過去には屋内型テーマパーク『ジョイポリス』を手がけてきた。

さらに拠点は日本だけにとどまらず、2006年に中国・青島、2009年には上海に会社を設立。中国に進出した日系企業や地元中国の高級料理店をクライアントに持ち、内装の枠を超えた店舗全体のプロデュースを担うことも多い。

直近では上海中心部にオープンしたフードテーマパーク『ラーメンアリーナ(拉麺競技館)』の、コンセプトメイクからテナント配置まですべてを同社が行った。浅草の仲見世通りや京都の錦市場など日本の繁華街を再現した館内は、現地の人のみならず、在中日本人からも好評を得ている。

会社の将来のために

そんな同社が新規事業として飲食業界に参入したのは、会社の将来を真剣に考えての決断だったと代表取締役社長/CEOの関根伸明さん(46歳)は振り返る。

「誰をクライアントとして考えるかというときに、日本に進出したい外資系企業や在日外国人も当てはまるんじゃないかと思ったのがきっかけです。海外ブランドを日本に誘致して、出店のアシストをする。そして、僕らの本業である内装・インテリアのオファーを一緒にもらうのが実は狙いなんです」

しかし、その目論見も一筋縄ではいかなかったという。

「海外で信用を得るためには、言葉ではなく実績なんです。企画書を持って散々プレゼンをしに行きましたが、全然ダメで。自分自身でお店を経営したことがないから、結局、机上の空論とされて終わってしまうんです」

こうなったら、自分で一から事業をやって結果を出すしかないと飲食店経営の道に踏み出した。

熱意でつかみ取ったフランチャイズ権

飲食店を経営するとなった時、MeetFreshのことが真っ先に浮かび、ここと組むしかないと関根さんの心は決まっていたのだそう。

「7年前の夏のことです。上海で母と小学生の娘と食べた仙草が本当に美味しくて、追加注文までしたという想い出が強く残っていたんです。派手さはないけれど、親しみやすくて懐かしい。どこか和スイーツに通じるものを感じて、きっと日本でも受け入れられるんじゃないかと思ったんです」

そんな手応えを胸に2016年7月、関根さんは台湾にあるMeetFresh本部へ出向き、どうしてもこのブランドを日本に広めたい!という想いを必死に伝えた。そして、名だたる大手企業がライバルにいるなか、見事に独占営業権を獲得した。

「飲食の経験がない僕が契約できたのは、彼らの経験則や想いと僕の考えがマッチしたところが大きいと思います」

やるからには長く続けたいと考えていた関根さんは、トレンドの発信地よりも、良いものを受け継いでいく風土のある場所が適しているとして、1号店は赤羽に決めていた。

MeetFresh本部も台湾から中国初進出の際、いきなり上海の中心を攻めるのではなく、少し郊外に出店するという同じ戦略をとっていた。利益や話題性だけではない、ブランドを大切に想う気持ちが両者を繋ぎ合わせたのだ。

赤羽駅前に2号店オープン

日本初上陸から1ヶ月後、JR赤羽駅西口前のショッピングセンターBivio(ビビオ)1階に2号店がオープンした。

「立て続けに赤羽に出店したのは、行列を分散させるためなんです。お客さまを取り逃がしたくなかったので、話題のうちに、どうしてもそばにもう1店舗必要だったんです」

赤羽Bivio店では周辺に大学や幼稚園、塾などが点在することから、定番商品に加えて、赤羽本店にもない若年層を意識した新メニューを用意した。

目玉商品は、濃厚な味付き氷を薄く削り出した、とろけるかき氷。マンゴーのかき氷にドラゴンフルーツなどの果肉がみずみずしい『トロピカルマンゴーふわふわかき氷』(800円)やミルク味のかき氷にプリンや芋園、タピオカをのせた『ミルクプリンふわふわかき氷』(800円)など、カラフルな色合いとパフェ風の見た目の華やかさで、感度の高い若者をとりこにする。

「Bivio店では食べ歩きも想定しています。地域貢献というわけではないんですが、うちを目当てにきてくれた人たちを、ショッピングセンターや周辺を巡るように促して、もっと街を盛り上げていきたいですね」

今では都内屈指の飲み屋街として名前が挙がる赤羽だが、これからは昼の顔も持たせていかなければいけないと、関根さんは地域に対する熱い思いを語ってくれた。

実績を武器にさらなる躍進

「デザイナーの在り方っていうのも、変化してきていると思うんですよ。昔はただかっこいいものを作ればいいと思っていました。雑誌に載りたいがために、みたいな時もあって。でも今は、もっと運営に近い立場からのものづくりが求められていると思っています」

今後は、都心部への出店を経て、日本本部としてフランチャイズ運営にも乗り出し、店舗数を積極的に増やしていく計画だ。

『実体験をもとにトータルプロデュースができる』という強みは、何ものにも代えがたい財産となり、仕事の領域はさらに広がっていくだろう。

国や業種の枠に収まらない大胆な舵取りと堅実な専門性は、企業としてこれからの時代を生き抜くための一つの道であるのかもしれない。

スムースデザイン株式会社
東京都北区赤羽2-21-2 SD.Building-5F
03-5249-5840
http://www.smooth-design.co.jp/

MeetFresh鮮芋仙 赤羽本店
東京都北区赤羽2-21-2 SD.Building-1F
03-5939-9500
11:00~21:00
http://www.meetfresh-tokyo.jp/

MeetFresh鮮芋仙 赤羽Bivio店
東京都北区赤羽西1-6-1 Bivio 1F 105区画(七福神広場)
03-5948-6202
10:00~21:00